企業の中の人を見る能力要件「dimension」には30-40くらいの項目がある。決断力とか判断力とかそういうものである。その中で、対面影響力(インパクト)という項目がある。言葉の雰囲気からすると、相手を動かすような圧倒的なパワーのような感覚があるが少し違う。いわゆる「~らしさ」である。仕事における「~らしさ」はその人が職務にコミットしてきた足跡でもある。「銀行員らしさ」といったら、ミスがなく、きちんとしていて、信頼感があるということを意味するだろう。ところが「いかにも銀行員」といったら、融通の利かない規則優先のようなことを意味するのであろう。それは対面影響力とは似て非なるものである。

私はひとの「~らしさ」に触れるのが好きだ。職種だけではない、「~社らしさ」「技術屋らしさ」「~大学らしさ」。組織のカルチャーを変えるのは違う血や考えが必要であるが、「~らしさ」を持ってきた人がその組織を変えていこうとする時、かなりエッジの利いたことになる。知っていて、そこに手を突っ込むわけだから。

知り合いの教授が学長選に出ると風の便りに聞いた。彼はそこの「らしさ」の人である。なってほしいなと思う。「~らしさ」の人の改革は新しい未来への一歩を確実に踏み出す、と信じている。